ようこそ!ハイランド真理子のブログです。

オーストラリア在住。団塊の世代。海外の競馬や犬事情も含んだ日記です。

グラシアス・ア・ラ・ヴィーダ(人生よありがとう)

アルゼンチン人歌手メルセデス・ソーサが死去、74歳 というニュースを10月5日の日に読みました。
10月5日15時0分 ロイターの配信です。

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 10月4日、アルゼンチンのフォークシンガー、メルセデス・ソーサさんが死去。

 [ブエノスアイレス 4日 ロイター] 歌声を武器に南米の軍事政権と戦い、現代ラテンアメリカ音楽界に多大な影響を与えたアルゼンチンのフォークシンガー、メルセデス・ソーサさんが4日に亡くなった。74歳。ソーサさんの家族が声明文で明らかにした。
 ソーサさんは腎臓を患い病院で集中治療を受けていた。地元メディアによると、遺体は4日午後、ブエノスアイレス市内にある議会の建物に安置され、追悼する市民が訪れた。
 黒髪と褐色の肌を持つソーサさんは「ラ・ネグラ」の愛称で親しまれ、貧しい人々を擁護し、政治的な自由を求めて戦う姿勢から「声なき大衆の歌声」とも呼ばれていた。09102009177.jpg


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私は、アルゼンチンで、彼女が亡命先から戻った初めての公演に行ったことがあります。当時はまだ軍事政権で、マルヴィナス(フォークランド)戦争で、弱体化していたとはいえ、彼女のアルゼンチンでの帰国公演は、危険だといわれていたのです。彼女は、軍事政権を批判していて、当時、スペインに亡命をしていました。外交官をしている上の娘の父親から、ポリシア(警察)が行くから、行かないようにと言われたのですが、私のアルゼンチンでの生活を彩ってくれた彼女の公演を逃したくないので、知人を誘っていくことにしました。そういえば、当時、やっと彼女のカセットがアルゼンチンに入ってきたころです。その前までは、密輸されたカセットで、彼女のファンは彼女の音楽を聴いていたのでした。

☆ ☆
大きな劇場に、立錐の余地もなく集ったブエノス市民。ポリシアが、たくさんいると聞いていたけれど、大勢の中で、一体誰がポリシアなのか、ほとんど見当がつきませんでした。彼女は、軍事政権を批判しただけではありません。ネグリータと呼ばれていたインディオたちの人権についても彼女は歌いました。社会の不正義も歌いました。インディオの人たちが、アルゼンチンの一般市民たちと付き合う機会もなく、彼らは、召使として使われていた時代です。私が住んでいたアパルトメントでも、白人たちと一緒の入り口から、アパートに入ることは許されず、エレベーターも別でした。日本から行った私には、全く別世界でした。私が当時、付き合っていた白人のアルゼンチン人で、彼女の歌を聴いたり、歌ったりする人は誰もいなかったのです。彼女の歌は、社会主義の歌だと思われていたし、金持ちの白人たちは、インディオの歌う歌などに全く興味を示しませんでした。彼女の公演の前には、彼女が、リベルター(自由)と歌ったら、必ずその瞬間に、劇場の隅々にいるポリシアが、彼女に襲い掛かり彼女も観衆も逮捕されるぞという噂がありました。

☆ ☆

しかし、彼女は、歌いました。長い、軍事政権。人々が心から願っていた'リベルター(自由)’を、彼女は、歌ったのです。あの瞬間の鳥肌の立つような感覚を、私は死ぬまで忘れません。彼女がリベルターと、その大きくて、広くて、深い声で歌った瞬間、観客はウオーという声を出しました。全員が立って、拍手をしました。恐らく、その大きなうねりの中で、ポリシアも心を動かされ、彼女を逮捕することができなかったのではないかと思いました。彼女の数々の歌の中で最も好きな歌は、GRACIAS A LA VIDA 「人生よありがとう」です。つらい、CAMINO(道)を歩きながらの人生でも、こうしていられることに感謝。アルゼンチンでの私のつらい日々を救ってくれた、メルセデス・ソーサ。人生をありがとう。(まだ、彼女の歌に触れたことのない方、ぜひお勧めします。聴いてください。)


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今日も、ほんの少しの晴れ間。サリーと一緒に公園に行ったら、ふと見上げた空の暗かったこと。09102009176_20091009191409.jpg

歩いているうちに、ポツポツと雨が降ってきて、家に戻るころには、本格的な雨に戻りました。ああ、よかったねって、サリーに語り掛けました。アルゼンチンにいた頃の音楽は、オーストラリアに来てからほとんど聴いていません。ポルケ?スペイン語でなぜ?それは、アルゼンチンに住んでいた3年半はつらい3年半だったからです。あの頃、家にいて、本当にたくさんの音楽を聴きました。メルセデス・ソーサ。ユパンキ。アルゼンチンタンゴ。シャンソン。特に、ムスタキ。心を掻き立てるような、それでいて悲しい音楽ばかりでした。

☆ ☆
その頃の音楽を、あれから30年近くたって、聴き始めたばかりでした。メルセデス・ソーサのCDも買ってきていました。その彼女の音楽が、30年も私の中で死んでいて、生き返ったと思ったら、彼女自身は、あの世に逝ってしまったのですね。人生って、不思議です。

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